Standing in Rows
春には、
れんげ畑だった場所。
風に揺れていた花は姿を消し、
茶色い畝ができ、
水が張られ、
やがて空を映す鏡になる。
同じ場所なのに、
季節が変わるたび、
まるで違う景色になる。
この季節になると、
村ではトラクターをよく見かける。
大きな田んぼは機械で。
細い場所や角は、
人の手で。
そうして植えられた小さな苗は、
一本ずつ、
きれいに等間隔に並んでいる。
まだ頼りないほど細い緑。
それでも田んぼいっぱいに並ぶ姿は、
どこか凛として見える。
その景色を眺めていると、
ふと、
小学生の頃の全校集会を思い出した。
校庭に引かれた白い線。
「もう少し右。」
「前にならえ。」
先生の声に合わせて、
みんなでまっすぐ並んでいた。
どうして田んぼを見て、
そんな景色を思い出したのだろう。
自分でもよく分からない。
でも、
記憶というものは、
案外こんなふうにやってくる。
一本の苗から。
風の匂いから。
季節の色から。
今年も、
明日香の田んぼに
小さな命が並び始めた。
今はまだ、
風に揺れるほど小さな苗も、
夏の日差しを受け、
秋には黄金色の景色になる。
その変化を知っているから、
私は毎年、
この季節の田んぼを見るのが好きなのだ。
そして私も、
焦らず、
一歩ずつ育っていこう。
今年もまた、
この小さな苗はゆっくり育っていく。
秋には黄金色になり、
やがて収穫され、
また春には、れんげが咲く。
その繰り返しを、
今年も静かに見届けたい。

