「これだけ?」と言われた亀石の前で

The Stone That Made Me Stop

亀石の近くを、ふらっと歩いていた日のことです。

私が訪れた日、近くを自転車で走っている観光客の方がいました。

「亀石はどこですか?」

そう声をかけられたので場所をご案内しました。

しばらくして亀石へ向かったその方は、

「これだけ?」

と言って、すぐに去っていきました。

でも、その気持ちもよく分かります。

亀石は石舞台古墳のような迫力があるわけでもなく、
飛鳥寺のような大きなお寺でもありません。

知らなければ、
ただの石に見えるのです。

けれど、

「誰が作ったのだろう」

「なぜ亀なのだろう」

と考え始めた瞬間、
その石はただの石ではなくなります。

1400年前の人も、
この石を見ていたかもしれない。

なぜここに置いたのだろう。

何を願って作ったのだろう。

そんなことを想像していると、
不思議とその場に立ち止まってしまいます。

明日香村は、
何かを見る場所というより、
昔の人に思いを巡らせる場所なのかもしれません。

そして私は、
その日ひとつのことを考えました。

ASUKA JOURNALで書きたいのは、
観光地の説明だけではありません。

現地を訪れたときに、

「なるほど」
「そういうことだったのか」

そんなふうに感じてもらえるような、

その場所が少しだけ面白くなる視点。

それを届けたい。

そう思いました。

亀石の前で立ち止まりながら、
そんなことを考えた一日でした。

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