東京から、仕事でお世話になっている方のご家族が明日香村へ遊びに来てくれることになりました。
40代のご夫婦と、小学2年生、2歳のお子さん。
奈良県を訪れること自体、今回が初めてです。
明日香村へ来るきっかけになったのは、電車が好きな小学2年生のお子さんが近鉄電車に乗ってみたかったこと。
そしてもうひとつ、2026年7月に「飛鳥・藤原の宮都」が世界文化遺産に登録されたことでした。
明日香村にとっても、村制70周年と世界文化遺産登録が重なった年になりました。
「世界遺産になった場所にも行ってみたい」
そんな希望を聞いて、明日香村育ちの私が1日の予定を考えることになりました。
ただし今回は、小学2年生と2歳児連れ。シルバーウィーク中の祝日で、当日はあいにくの雨です。
明日香村で過ごせるのは、9:50から15:10までの約5時間20分。
さて、どこまで回れるでしょう。
実際に初めて明日香村を訪れた子連れ家族を案内した1日を紹介します。
今回の明日香村観光
今回の条件はこんな感じでした。
- 東京から来た40代夫婦+小学2年生+2歳児
- 奈良県・明日香村ともに初めて
- 大阪あべの橋駅から近鉄電車で飛鳥駅へ
- 9月21日・シルバーウィーク中の祝日
- 天気は雨
- 滞在時間は9:50〜15:10
- 明日香村内は車で移動
- 15時すぎに飛鳥駅を出発して大阪へ
初めての明日香なら石舞台古墳も見せたいところですが、今回は雨と2歳児連れ、さらに駐車場事情や混雑も考えて見送ることに。
その代わり、子どもでも楽しみやすいキトラ古墳と高松塚古墳を中心にしました。
さらに、時間があれば飛鳥寺や奈良県立万葉文化館にも立ち寄る予定でした。
9:50|飛鳥駅に到着。「明日香村なのに、飛鳥駅?」
近鉄電車を乗り継いで、9:50ごろ飛鳥駅に到着。
そして、いきなり聞かれました。
「明日香村は『明日香』なのに、駅は『飛鳥』なんですね?」
……確かに。
地元で暮らしていると、当たり前すぎて考えたこともありませんでした。
「明日香」と「飛鳥」はどう違う?
実は「あすか」は、昔から一つの漢字だけで表されてきたわけではありません。
明日香村の資料によると、『古事記』『日本書紀』では「飛鳥」と記され、『万葉集』では「明日香」と「飛鳥」の両方が使われています。
現在の明日香村という名前になったのは1956年。阪合村・高市村・飛鳥村の3村が合併して誕生しました。
そして現在も、飛鳥寺がある地域には「大字飛鳥」という地名が残っています。
つまり、
明日香村にある、飛鳥駅。
どちらも「あすか」です。
初めて来た人と一緒に歩くと、地元にいる私には見えなくなっていた「なんで?」に気づかされます。
旅の始まりから、さっそく一つ教えてもらいました。
まずは飛鳥駅前で、おにぎりを受け取る
飛鳥駅前では、事前に予約していたおにぎりをテイクアウト。
飛鳥駅前にある「おむずび屋 悠(はるか)」さん。

2歳児も一緒なので、「12時になったら飲食店を探す」のではなく、先に昼食を確保しておきました。
これはやっておいて正解でした。
子どもと一緒だと、予定どおりに進まないこともあります。
食事を持っていれば、その日の進み具合や子どもの様子を見ながら休憩できます。
おにぎりを受け取って、最初の目的地へ向かいます。
10時台|まずはキトラ古墳へ
最初に向かったのは、キトラ古墳。
今回、私が「ここだけは連れて行きたい」と思っていた場所です。
その理由は、古墳そのものだけではありません。
すぐそばにあるキトラ古墳壁画体験館 四神の館では、キトラ古墳の壁画や古代の暮らしについて、展示を見ながら知ることができます。
しかも入館は無料。授乳室や多目的トイレもあり、子連れで訪れやすい施設です。飛鳥歴史公園

ご家族も、
「これ、無料なんですか?」
と驚いていました。
小学2年生くらいなら、古墳だけを見て「昔のお墓です」と説明するより、展示を見ながら昔の暮らしを想像できる場所の方が入りやすい。
我が家の子どもたちと訪れたときにも感じたことでした。
予想外!キトラ古墳でまさかの混雑
地元の私にとって、キトラ古墳は比較的ゆっくり見られるイメージの場所です。
ところが、この日は人が多い。駐車場も満車の看板が!!
キトラで並ぶんや……。
私の方が驚きました。
この日はシルバーウィーク中の祝日。さらに2026年9月19日〜10月18日の土日祝は、国宝キトラ古墳壁画の特別公開に合わせて、飛鳥駅・キトラ古墳・高松塚を結ぶ臨時バスが運行されるほど混雑が見込まれていました。
世界遺産登録後の明日香。
地元だから分かることもあるけれど、「いつも空いているから大丈夫」という私の感覚も更新しないといけないなと思いました。
11時台|高松塚古墳へ

次に向かったのは、高松塚古墳。
ここも、初めて明日香を訪れるなら見てもらいたかった場所です。
この日は高松塚周辺で昼食と休憩をとりました。
テイクアウトしたものを持って明日香を巡るなら、公園内の休憩場所を利用するのもひとつの方法です。
そして朝から降っていた雨が、このころには少しずつ止んできました。
ここから、予定にはなかった時間が始まります。
バッタを捕まえて、田んぼでカエルを探す
雨が止んだ公園を歩いていると、子どもたちがバッタを発見。
そこから、
バッタ捕りが始まりました。
さらに田んぼを見つけると、今度は中を覗き込んでカエル探し。
世界遺産を見に明日香まで来たはずなのに、
バッタを追いかけて、
田んぼを覗き込んで、
カエルを探している。
でも、子どもたちは楽しそうです。
私も「次へ行こう」とは言わず、一緒に立ち止まっていました。
「ここで写真を撮りたい」
そんな高松塚周辺で、もうひとつ意外なことがありました。
お母さんが、
「ここで写真を撮りたい」
と言ったんです。
古墳の前かと思ったら、違いました。
有名な撮影スポットでもありません。
田んぼがあって、その向こうに山がある。
私にとっては、昔から見慣れている明日香の景色です。

正直、
「ここで?」
と思いました。
でも、
「空が広い」
「空気がおいしい」
「いろんな匂いがする。草とか」
そんな言葉が次々と出てきました。
「浄化される」とも。
私が見てもらおうと考えていたのは、キトラ古墳や高松塚古墳。
でも東京から来た人が写真に残したいと思ったのは、私なら観光地として数えもしない、何気ない明日香の景色でした。
気づけば時間がない。万葉文化館と飛鳥寺は諦めました
さて。
ご飯を食べて、バッタを捕まえて、カエルを探して、景色を眺めていたら、
時間がなくなりました。笑
本当はこのあと、奈良県立万葉文化館と飛鳥寺へ行く予定でした。
でも15:10には、乗りたい近鉄特急に合わせて明日香を出発しなければなりません。
急げば、もう一か所くらい行けたかもしれない。
でも、
「バッタはもういいから、次行くよ」
と言ってまで、観光する必要はないかなと思いました。
結局、万葉文化館も飛鳥寺も諦めることに。
5時間以上あっても、子どもと一緒なら思っているほど多くは回れません。
でも、この日の明日香は「何か所回れたか」で考えなくてよかったと思っています。
14:00|道の駅でソフトクリームとお土産
14時ごろには道の駅周辺へ。
ソフトクリームを食べて休憩し、野菜やぶどうなども購入しました。
飛鳥駅前の飛鳥びとの館では、電車好きのお子さんが鉄道グッズも。
ここも意外と長居しました。
でも2歳児との旅なら、ソフトクリームを食べる時間も、お土産を選ぶ時間も、最初から旅程に入れておいた方がいいと思いました。
観光スポットを一つ増やすより、みんなが機嫌よく帰れる方が大事です。
小学2年生が一番気に入ったのは、まさかの場所
さて。
キトラ古墳と高松塚古墳を巡った一日。
小学2年生のお子さんにとって、一番印象に残った場所はどこだったでしょう。
答えは、
飛鳥駅前のトイレ。

そこ!?笑
木の香りがとても気に入ったようで、
「ここに住みたい」
と言うほど。(可愛い!)
帰る前にも、
「もう一回、あのトイレに行きたい」
と立ち寄りました。

さらに東京へ帰ったあと、お母さんから聞いた話では、
Minecraftで最初に作ったのが、飛鳥駅前のトイレだったそうです。
これには笑いました。
世界遺産を見せようと一生懸命考えていた大人の横で、子どもの一番の思い出は駅前のトイレ。
何が旅の思い出になるかは、大人には決められないのかもしれません。
実際に案内して分かった|子連れ明日香村観光の5つのポイント
今回、実際に小学2年生と2歳児のいる家族を案内してみて、これから明日香村を訪れる人に伝えたいことがあります。
1|予定は詰め込みすぎない
今回は約5時間20分滞在しましたが、中心になった観光スポットはキトラ古墳と高松塚古墳の2か所。
小さな子どもと一緒なら、これくらいの余白があっても十分です。
2|2歳児連れなら、移動方法を先に考える
今回の行程は車で移動できたから成立しました。
明日香村は史跡が点在しているため、同じコースを徒歩だけで回るのは難しいと思います。
自転車に乗れる年齢の子どもならレンタサイクルも候補になりますが、2歳児を含む家族なら、行きたい場所を絞って移動方法から考えるのがおすすめです。
3|昼食は先に考えておく
今回はおにぎりを予約してテイクアウトしました。
子どものペースに合わせて食べられたので、かなり楽でした。
4|連休は混雑を前提に
シルバーウィークのキトラ古墳は、普段の私の感覚とはまったく違いました。
特別公開やイベントの時期もあるので、連休に訪れる場合は公式情報を確認してから出かけるのがおすすめです。
5|歩きやすい靴で
古墳や公園を歩いたり、子どもが田んぼを覗き込んだり。
明日香は「目的地に着いたら終わり」ではなく、目的地と目的地の間も歩きたくなる場所です。
歩きやすい靴で来ることをおすすめします。
「何もない」が、誰かの感動になる
この日、私は明日香の何を見せようかと考えていました。
世界遺産になった場所。
子どもでも楽しめる古墳。
飛鳥の歴史が分かる場所。
でも、東京から来た家族が立ち止まったのは、それだけではありませんでした。
バッタを追いかける子どもたち。
田んぼを覗き込んで探したカエル。
草の匂い。
広い空。
名前もついていない景色。
そして、飛鳥駅前のトイレ。
私にとっては、昔からそこにあるものばかりです。
以前、私はAJのEssayに、
「明日香には、何もないと思っていた。」
と書きました。
今回、初めて明日香を訪れた人を案内して、その「何もない」の見え方がまた少し変わりました。
私が「何もない」と思って通り過ぎていた場所にも、誰かが立ち止まる理由がある。
もしかすると明日香を楽しむために必要なのは、たくさんの観光地を回ることではないのかもしれません。
帰り際、ご家族は、
「また来ます」
と言ってくれました。
次は、今回行かなかった石舞台古墳へ。
万葉文化館も、飛鳥寺も残っています。
全部回れなかったから、また来る理由ができました。
もう少し、明日香の時間を。
Essay|明日香には、何もないと思っていた。
旅の終わり。お土産を買うなら
明日香村には、地元の特産品や歴史にちなんだお土産を買える場所が点在しています。
旅の最後に立ち寄りたい、おすすめの5か所をまとめました。


